「石破茂 辞任」という検索ワードが急上昇中。商品券問題などで逆風が吹く中、「辞めるべきだ」という声が上がる一方で、「まだ高い支持率を保っている」との見方もあるようです
歴代首相の“辞任ライン”と比較して、本当に今が辞任のタイミングなのか?
歴代の総理大臣の支持率と比較しつつ石破内閣の今後を冷静に読み解きます
1. 石破茂首相に辞任の声?その背景とは
石破首相が「新人議員に慰労として商品券を渡していた」と明かしたことで、政治的中立性や“影響力の行使”といった点が疑問視されています。
SNSやメディアでは「不適切だ」という声も多く、世論調査では過半数が問題視。
しかし、「辞任すべき」とする割合は36%と、必ずしも“即辞任”を求める声が多数ではないのが現状です。
また、石破首相が就任した2024年10月当初の支持率は53%(NHK調査)と高水準で、スタート時は国民の期待も大きかったことがうかがえます。
それから約半年が経ち、商品券問題を含むいくつかの課題が影響してか、現在は38.2%まで下落しています。
約15ポイントの減少は決して軽視できないものの、歴代首相が辞任に追い込まれた水準と比べると、まだ比較的高い位置にあるといえるでしょう。
2. 歴代総理と比べて、石破内閣の支持率は高い?低い?
石破茂首相が就任した直後の内閣支持率は、およそ53%(2024年10月・NHK調査)と比較的高いスタートを切っていました。
それから約半年が経ち、現在の支持率は38.2%まで低下しています。
これは約15ポイントの下落であり、徐々にではあるものの、国民の期待値がやや下がってきていることを示しています。
では、他の歴代首相たちはどうだったのでしょうか?以下の表で、就任直後と半年後の支持率を比較してみましょう。
総理大臣 | 就任時の支持率 | 半年後の支持率 | 増減幅 |
---|---|---|---|
石破茂(2024) | 53% | 38.2% | -14.8pt |
岸田文雄(2021) | 46% | 43% | -3pt |
菅義偉(2020) | 64% | 33% | -31pt |
安倍晋三(2012) | 62% | 58% | -4pt |
鳩山由紀夫(2009) | 71% | 50% | -21pt |
麻生太郎(2008) | 48% | 20% | -28pt |
福田康夫(2007) | 53% | 33% | -20pt |
この表からわかるように、就任当初は高い期待を集める首相が多いものの、半年以内に急落するケースも少なくありません。
石破首相の減少幅は中程度であり、菅義偉氏や麻生太郎氏に比べると小さく、安倍晋三氏よりはやや大きいという位置づけになります。
辞任直前の歴代首相の支持率を見てみると、菅義偉29%、鳩山由紀夫19%、麻生太郎19%、福田康夫29%など、“30%以下”が一つの目安になっていることがわかります。
それに対して石破首相の最新の支持率は38.2%。不支持がやや上回ってはいるものの、依然として“危険水域”には達していません。
3. 支持率38.2%…これは“辞任ライン”なのか?
歴代と比べれば、石破首相はまだ「持ちこたえている」状態。
さらに世論調査では「辞任すべきでない」が45%と最多。
つまり、現段階では“辞任の圧力”はそこまで強くないという見方もできます。ただし、説明責任や今後の発信次第で状況は一気に変わる可能性もあります。
ここで、過去の総理大臣たちが辞任した際の支持率と、総理を務めた期間を整理してみましょう。
総理大臣 | 在任期間 | 辞任時期 | 辞任直前の支持率 | 主な辞任理由 |
岸田文雄(2021〜2024) | 2021年10月〜2024年7月 | 2024年7月 | 22% | 派閥の裏金問題、信頼失墜 |
菅義偉(2020〜2021) | 2020年9月〜2021年9月 | 2021年9月 | 29% | コロナ対応への批判、求心力低下 |
安倍晋三(2012〜2020) | 2012年12月〜2020年9月 | 2020年9月 | 55% | 持病の悪化(健康問題) |
野田佳彦(2011〜2012) | 2011年9月〜2012年12月 | 2012年12月 | 19% | 衆院解散と政権交代を見据えての辞任 |
菅直人(2010〜2011) | 2010年6月〜2011年8月 | 2011年8月 | 15% | 東日本大震災後の対応に批判集中 |
鳩山由紀夫(2009〜2010) | 2009年9月〜2010年6月 | 2010年6月 | 19% | 普天間基地移設問題などで信頼失墜 |
麻生太郎(2008〜2009) | 2008年9月〜2009年9月 | 2009年9月 | 19% | 衆院選での大敗確実視 |
福田康夫(2007〜2008) | 2007年9月〜2008年9月 | 2008年9月 | 29% | 政権運営行き詰まり |
安倍晋三(2006〜2007) | 2006年9月〜2007年9月 | 2007年9月 | 30% | 参院選敗北、健康不安説もあり |
この表からも明らかなように、辞任時の支持率は30%を下回っているケースが多く、「30%割れ」が一つの目安として意識されていることがわかります。
石破首相の現在の支持率38.2%は、まだ“危険ライン”の手前にあるといえるでしょう。
4. 商品券問題の影響と、石破政権の外交
商品券問題以外にも、「何をやっているのかわからない」「SNSなどでの発信力が弱い」といった声も支持率低下の一因になっています。
商品券問題とは?
石破首相が自民党の新人議員15人に対し、それぞれ10万円分の商品券を渡していたことが明らかになり、「商品券問題」として話題になりました
石破氏は「選挙戦を終えた議員への個人的な慰労」と説明していますが、
- 首相という立場での行動だったこと
- 支持を取り付ける意図があったのではないかという疑念
- 政治活動に関わる寄付と見なされる可能性
といった点が批判を招いています。
法的にはグレーゾーンとの見方もありますが、「政治的中立性に欠けるのでは」との声も強く、国民の間では不信感が高まっています。
外交面での動きと評価
石破首相は外交面でもさまざまな取り組みを行っており、
- 日米関係の再強化(バイデン大統領との首脳会談、防衛・経済安全保障の深化)
- 韓国との関係修復への意欲
- 東南アジア諸国との対話の継続
など、東アジアの安定や国際協調を重視した姿勢を見せています。
しかし、世間の評価は分かれており、
- 「慎重すぎて行動が見えづらい」
- 「国際会議などでの存在感が薄い」
といった批判がある一方で、
- 「バランスを取った現実的な外交」
- 「無用な対立を避けている」
と評価する声もあります。
クリーンなイメージが期待されていた石破氏にとって、小さな綻びが大きく印象を左右する今、説明責任と明確な発信がより求められている状況です。
5. 今後の焦点:石破政権はいつまで持つ?
支持率は下降傾向にあり、今後さらに問題が続けば、30%を割り込む可能性も出てきます。
とくに、商品券問題に対する国民の反応が長引くようであれば、政権への信頼が大きく損なわれる懸念もあります。
ただし、現時点での支持率38.2%は、歴代首相の“辞任ライン”とされる30%前後と比べると、まだ一定の支持を保っている状態です。
また、世論調査でも「辞任すべきでない」と考える人が45%と最多であり、決定的に求心力を失ったわけではありません。
問題の本質は、支持率そのものよりも、今後の「信頼回復の動き」が見えるかどうかにかかっています。
今後の注目点としては、次のような具体的な課題が挙げられます:
- 次期内閣改造での人事:信頼される顔ぶれを揃えることで、求心力の回復につながるかがカギ
- 国会での答弁対応:説明責任を果たし、不安を払拭できるかどうか
- 商品券問題への最終的な対応:再発防止策や制度見直しの提示が期待される
- SNS・メディアを通じた発信力の強化:国民との対話姿勢を打ち出せるかどうか
特に注目されるのは、石破首相がどのように国民に語りかけ、説明し、今後の政策を明確に打ち出していくか。
党内での立ち位置も問われており、安定政権を築くには自民党内の支持も欠かせません。
つまり、石破政権の“継続力”は、単なる数字の上下だけでなく、国民の信頼をどう再構築していくかにかかっているのです。
これからの数ヶ月が、石破政権にとって極めて重要な岐路となるでしょう。
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