韓国は中国より有利?TPP加盟を検討する韓国、中国がまだ入れない理由とは

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韓国政府が、環太平洋パートナーシップ協定(TPP/CPTPP)への加盟検討を正式に表明しました。

自由貿易を推進するこの枠組みには、日本やオーストラリアなど11か国が参加していて、経済圏として世界のGDPの1割以上を占めています。

注目されるのは、すでに2021年に加盟を申請した中国や台湾がいまだに加入できていない中で、韓国が動き出したという点です。

韓国は中国よりも有利に加盟できるのか?

そして日本にはどんなメリットやデメリットがあるのか。

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TPPとは?基本をわかりやすく解説

TPPとは「環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership)」の略称で、アジア太平洋地域を中心に自由貿易を進めるための国際的な枠組みです。

アメリカが2017年に離脱したあと、日本が中心となって立て直し、現在は「CPTPP(包括的および先進的なTPP協定)」という形で運営されています。

この協定の最大の特徴は、加盟国同士で関税を大幅に削減・撤廃できることです。たとえば工業製品や農産物の取引で関税がなくなれば、輸出入がしやすくなり、企業にとっては新しい市場が広がるチャンスになります。

さらにCPTPPは、関税だけでなく、知的財産、電子商取引、国有企業の透明性、労働環境といった幅広いルールを含んでいます。

つまり「モノの売り買い」だけでなく、ビジネス環境全体を国際的な基準で整える仕組みでもあるのです。

現在の加盟国は、日本・カナダ・メキシコ・ペルー・チリ・オーストラリア・ニュージーランド・シンガポール・マレーシア・ベトナム・ブルネイの 11か国

2023年にはイギリスの加盟も承認され、順次発効に向けて動いています。

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韓国がTPP加盟を検討する理由

韓国がCPTPP(TPP)への加盟を検討する背景には、いくつかの経済的・戦略的な理由があります。

1.輸出産業の競争力強化

韓国経済の柱である自動車、半導体、電気自動車用の電池産業は、世界市場で激しい競争にさらされています。

CPTPPに加盟すれば、加盟国間での関税撤廃や原産地規則の「累積適用」が可能となり、サプライチェーンの効率化につながります。

これにより、韓国企業が域内で有利に取引を進められることが期待されています。

2.メキシコ市場へのアクセス拡大

韓国は多くの主要国とFTAを結んでいますが、実はメキシコとの間に自由貿易協定が存在しません。

CPTPPに加盟することで、北米市場への新しいゲートウェイを手に入れることができ、輸出拡大の大きなチャンスとなります。

3.中国依存からの脱却

韓国は輸出入において中国への依存度が高いものの、米中対立や保護主義の拡大により「リスク分散」が急務となっています。

CPTPPは高い自由貿易基準を持つ協定であり、中国に過度に依存しない新しい貿易の枠組みを確保する狙いもあります。

4.国内産業界からの要望

韓国の経済界や輸出関連業界からは、以前からCPTPP加盟を求める声が強くありました。

世界的なサプライチェーンの再編が進む中、競争力を維持するためには「この流れに乗り遅れてはいけない」という危機感が背景にあります。

📌 まとめると、韓国にとってCPTPP加盟は「輸出の拡大」「新市場の獲得」「中国依存からの脱却」という三本柱の戦略的意味を持つといえます。

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韓国国内の反応は?

韓国政府がTPP(CPTPP)加盟の検討を表明すると、国内では賛否が大きく分かれています

1.財界・経済界は歓迎ムード

韓国の経済団体や輸出産業を中心に、加盟を前向きに評価する声が多く出ています。

自動車や半導体、二次電池といった輸出の主力分野が恩恵を受けると見込まれるためです。

特に「メキシコ市場に直接アクセスできるようになることは大きな前進」として、財界は加盟推進を後押ししています。

2.農業・漁業団体は強い反発

一方で、農業・漁業関係者からは強い反対の声があがっています。

CPTPPに加盟すれば農水産品の関税が引き下げられ、輸入品との競争が激化するため、国内生産者の打撃が避けられないとの懸念が根強いのです。

中には「加盟阻止の闘争に入る」と強い姿勢を見せる団体もあります。

3.政府は世論を意識し慎重姿勢

韓国政府は経済界と農業団体の板挟みとなっており、「世論を聞きながら社会的な議論を進める」といった慎重な姿勢を示しています。

過去にも加盟検討が議論されながら、国内調整が難航して正式申請に至らなかった経緯があり、今回も同様に世論形成が重要なステップになるとみられています。

📌 要するに、経済界は賛成、農業団体は反対、政府は慎重という三者三様の構図。

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中国・台湾との比較:なぜ加盟に時間がかかるのか

韓国の加盟検討が注目される理由の一つは、すでに2021年にCPTPP加盟を申請した中国や台湾が、いまだに加入できていないという事実です。

なぜ時間がかかっているのでしょうか?

新しい国が加盟するには、すでに参加している11か国すべての同意が必要です。

1か国でも反対すれば交渉は進まないため、政治的に扱いが難しい中国や台湾の申請は停滞しています。

中国は国有企業中心の経済構造や厳しいインターネット規制などがあり、「本当にルールを守れるのか」という疑念が強く、加盟国の合意を得られていないようです。

一方で、台湾は経済制度的にはCPTPPのルールに比較的適合しやすいとされています。

特に半導体やデジタル分野ではプラス要因が多いのですが、「中国より先に台湾を受け入れると中国が強く反発する」ため、加盟国は慎重な態度をとっています。政治的なバランスが最大の壁です。

今回、加盟を検討している韓国は、農業分野で国内調整という課題を抱えていますが、制度的な不整合は中国ほど大きくなく、また台湾ほど強烈な政治リスクもありません。

そのため「中国や台湾よりも加盟しやすい立場にある」と見る専門家は多いのです。

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日本への影響は?メリットとデメリット

韓国がCPTPPに加盟した場合、日本にとってはプラスとマイナスの両面があります。

メリット面

  • サプライチェーンの強化
  • 東アジア経済圏の安定化
  • デジタル分野での協力拡大

半導体、電気自動車用電池、鉄鋼など、日韓の主要産業はすでに深い結びつきがあります。

韓国が加盟すれば、原産地規則の「累積」が適用され、日韓で部材を組み合わせた製品もCPTPP域内製品として関税優遇を受けられるようになります。

これにより、日本企業もサプライチェーンの柔軟性と競争力を高められると期待されます。

また、韓国はITやデジタル貿易に強みを持っています。

CPTPP加盟によって、日本企業が韓国とより自由にデジタル取引を行えるようになれば、スタートアップやITサービスでの新しい連携も期待できます。

デメリット面

  • 自動車市場での競合激化
  • 農業・水産業への影響
  • 政治的リスク

📌 まとめると、日本にとって韓国加盟はサプライチェーンや経済圏の拡大というプラス効果が大きい一方、特定分野での競争激化や政治摩擦というリスクも抱えていると言えます。

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今後の加盟プロセス

韓国がCPTPP加盟を表明したとはいえ、すぐに実現するわけではありません。

加盟には明確なプロセスがあり、過去の事例から見ても数年単位での時間が必要とされます。

1.正式申請からの流れ

韓国政府がニュージーランド(協定の寄託国)に加盟申請書を提出すると、まず既存の11か国すべてが審査開始に同意する必要があります。

全会一致が条件となっているため、政治的調整が第一のハードルとなります。

その後は「加盟作業部会(AWG)」が設置され、

  • 国内法制度がCPTPPの高い基準に適合しているか
  • 農業や知財分野のルールをどこまで受け入れるか
  • 関税削減・市場開放の範囲をどう設定するか

といった交渉が細かく進められます。最終的には、各国議会の批准を経て初めて正式加盟となります。

2.加盟にかかる期間の目安

過去の例を見ると、イギリスは2021年2月に正式申請し、2023年3月に加盟承認を得て、2024年に発効しました。

つまり約3年かかっていることになります。


一方で、中国や台湾は2021年に申請したものの、政治的要因から2025年現在も交渉が始まっていません。

3.韓国の見通し

韓国の場合、農業団体の強い反発や日韓関係の政治的摩擦が課題となります。

ただし、制度面では中国より対応しやすく、台湾ほどの外交的リスクも小さいとみられます。


そのため、順調に進めば3〜5年程度で加盟が実現する可能性がある一方、国内調整や国際政治次第で長期化するシナリオも十分考えられます。

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まとめ:韓国加盟が実現したらどうなる?

韓国がCPTPPに加盟すれば、東アジアの経済地図は大きく変わります。

まず、日韓の主要産業である半導体や自動車、電池の分野でサプライチェーンがより強固になり、両国企業にとって新たなビジネスチャンスが広がります。

特に、韓国にとっては未開拓だったメキシコ市場へのアクセスが開ける点は大きなメリットです。

一方で、日本にとっては自動車や農業分野での競争激化といったリスクも無視できません。

韓国の加盟は、日韓経済の協力と競争の両面を加速させることになるでしょう。

また、すでに2021年に申請した中国や台湾がまだ加盟できていない中で、韓国が先行すれば、国際政治のパワーバランスにも影響を与えます。

中国主導ではなく、日本を中心とした「高水準ルールの経済圏」に韓国が加わることは、CPTPPの存在感をさらに高めることにつながります。

韓国の加盟は東アジアの経済圏を拡張し、日本にとってもメリットとデメリットが交錯する「新しい局面」の始まりになるといえるでしょう。

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