「いじめてる子も、いじめられてる子も、両方同じ大事な生徒なんです」
これは、女優・須藤理彩さんが娘さんの不登校について校長先生に直談判した際、実際に言われた言葉です。
一見すると正論に聞こえるこの言葉。
しかしその裏には、「いじめ加害者が普段通り学校に通い、被害者が不登校を選ばざるを得ない」という、あまりにも理不尽な現実が横たわっています。
この記事では、日本の学校現場に今も根強く残る“加害者寄り”の考え方に疑問を投げかけながら、須藤理彩さんが「母として」どのように娘を守り、行動したのかをご紹介します。
“母の覚悟”って本当に素晴らしいですよね
女優・須藤理彩ってどんな人?

須藤理彩さんは、1976年生まれ、神奈川県出身の女優です。
アミューズ主催の「100時間オーディション」に見事合格し芸能界入りしました。
とても足が速く、高校時代にはインターハイに出場した実績もある元陸上競技選手で、ドラマでバスを追いかけるシーンを撮影する際には、たびたびバスを追い抜いてしまうほどの俊足の持ち主として、ユニークなエピソードも語られています。
1998年にNHKの朝ドラ『天うらら』で初主演を務め、一躍注目を浴びました。

その後もドラマや映画、舞台など幅広く活躍し、演技派女優として知られています。
その他の代表作には、ドラマ『救急病棟24時』(第2シリーズ・桜井ゆき役)、『やまとなでしこ』(奥山なみ役)、そして最近では『パパとなっちゃんのお弁当』(西川泉役)などがあり、シリアスからコメディまで幅広い役柄を演じています。
私生活では、2006年にロックバンド「BOOM BOOM SATELLITES」のボーカルであった川島道行さんと結婚。

二人の間には2人の娘さんがいます。
川島さんは脳腫瘍により、2016年10月9日に47歳という若さで逝去されました。
娘さんが不登校になったのは、その川島さんの逝去後のことだったと考えられます。
須藤さんは、シングルマザーとして2人の娘さんを育てながら仕事も続け、その中で長女の不登校という深刻な問題にも真剣に向き合いました。
娘のいじめと不登校に直面して
須藤理彩さんは、自身のSNSや番組内で、現在高校生となった長女が小学生のときにいじめを受け、不登校になった経験を公にしています。
当時、娘さんからいじめの状況を聞いた須藤さんは、迷わず学校に出向き、校長先生に直接相談を持ちかけました。
そこで須藤さんは、
「いじめている子を別の教室に移してもらえないか」
と提案します。
しかし校長先生の返答は、
「いじめてる子も、いじめられてる子も、両方同じ大事な生徒なんです。どちらかだけを特別扱いすることはできません」
というものでした。
さらに、いじめている子は「学校に行きたくないとは言っていない」として、別室での授業などの対応もできないとの説明を受けます。
この対応に、須藤さんは深く落胆し、自分の娘が安心して通える環境が整えられない――その現実を前にして、
「じゃあもう、仕方ない。不登校を選ぼう」
と、娘さんの気持ちを最優先にした決断を下しました。
学校という場で“守られるべき側”の子どもが居場所を失い“加害側”の子どもが普通に通い続けられる。
そんな理不尽に直面したとき、親としてどう向き合い、何を選ぶのか。
須藤理彩さんの選択は、多くの親たちにとっても大きな気づきとなるエピソードです。
いじめ加害者が別室登校はあたりまえ!欧米を見習いたい
日本では「いじめている子にも学ぶ権利がある」として、加害者側への対応が非常に甘くなるケースが少なくありません。
しかし欧米諸国では、いじめ加害者に対して明確な制限を設けることが一般的です。
たとえばアメリカやイギリス、北欧諸国では、いじめが確認された場合、加害生徒に対しては以下のような措置が取られることがあります。
- 一定期間の登校停止
- 別室での個別指導やカウンセリング
- 被害者との接触禁止命令
- 必要に応じた転校措置
このような対応は「いじめを容認しない」という社会的な意思表示であり、被害者が安心して通学できる環境を守るための仕組みです。
日本では、いじめ加害者が“何事もなかったかのように”登校し続ける一方で、被害者が学校に行けなくなるという現実があります。
「学校に行けない子どもが悪いのではなく、行けない環境を放置する大人の責任」
そんな意識改革が、日本の教育現場にも今、強く求められています。
実際に日本でも、少しずつではありますが、いじめ加害者に対する対応を見直す動きが出てきています。
たとえば、埼玉県の一部の中学校では、いじめ行為が認定された生徒に対して「別室での指導期間」を設ける取り組みが実施されています。
この期間中、加害生徒にはカウンセリングや反省文の提出、場合によっては保護者との面談が義務づけられ、再発防止のための教育的支援が行われます。
また、東京都内のある学校では、被害者と加害者を物理的に隔離する“接触禁止”の措置が試験的に導入され、一定の効果が報告されています。
まだ制度として全国的に整備されているわけではありませんが、こうした実例が積み重なれば、日本でも少しずつ「加害者側の行動に責任を問う」方向へと変わっていく可能性があります。
いま、いじめに悩んでいる子どもと保護者へ
もし、この記事を読んでいるあなたやあなたの子どもが、いじめに苦しんでいるとしたら――。
どうか覚えていてください。
無理に学校に行かなくてもいいんです。環境が改善されないのなら、「逃げる」という選択は、決して負けではありません。
須藤理彩さんが娘さんに寄り添い
「学校が守ってくれないのなら、不登校という道を選ぼう」
と決断したように、子どもの心と安全を第一に考えることは、親としてとても勇気ある、素晴らしい行動です。
誰よりも信じてくれる大人がそばにいること。それが、子どもにとってのいちばんの支えになります。
大切なのは、「学校に通うこと」ではなく、「安心して生きていける場所を持つこと」。
あなたにも、あなたの子どもにも、その権利があります。
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